「拝見しました」の意味・使い方と例文

「拝見しました」の意味

「拝見しました」とは「見ました」という意味です。「拝見」という言葉は「拝（おがむ）」という字と「見る」という字で構成されています。これは「拝むようにありがたく見る」という意味です。「拝見します」「拝見しました」「ぜひ拝見したいです」など、現在・過去・未来と形を変えて使うことができます。

「拝見しました」の使い方

「拝見しました」は目上の方へ使える敬語

「拝見しました」という言葉は主には目上の人や、敬意を払うべき相手に対して使います。この「敬意を払うべき相手」とは、必ずしも目上の人とは限らず「取引先の方」「敬語を使う間柄の相手」なども含まれます。

「拝見しました」と同じ意味を持つ「見ました」という言葉は「見る」という動詞に「～しました」という丁寧語が付いただけの表現で敬語ではありません。そのため、普段敬語を使っている相手に「見ました」という言葉を使うと、少し雑な印象を持たれやすくなります。「拝見しました」を使うと自然な敬語となり、前後の敬語と比べて違和感を持たれることもありません。

「拝見しました」を使うときの注意点

「拝見」という言葉は敬語なので、後に続く言葉は丁寧語に限られます。「します」「しました」「したい」などと一緒に使うことで正しい敬語として機能します。

「拝見」を使うときに多い間違いは二重敬語になってしまう使い方です。「拝見させていただきます」「拝見いたします」「拝見させていただきたく存じます」などは全て二重敬語です。二重敬語とは、言葉の通りひとつのセンテンスの中に敬語が二つ以上含まれている場合を刺します。

「させていただく」「いたす」「いただきたく存じる」などは全てそれだけで敬語となります。通常であれば「ご連絡させていただく」「お電話いたします」「参加させていただきたく存じます」など、敬語ではない丁寧語や名詞と一緒に使うことで、その言葉を敬語表現にします。

そのため「拝見」という敬語と一緒「させていただく」などを使うと二重敬語となり、文法的に誤った使い方となるので注意しましょう。

「見る」の尊敬語は「ご覧」

「拝見しました」は自分がそれを見たということを表す謙譲語です。一方で、相手が見たことは「ご覧になった」と言います。「ご覧になる」「ご覧になった」「ご覧ください」などと、後に続く言葉を変化させて状況に合わせることができます。

「ご覧になった」などに使われる「ご覧」という言葉は日常でも頻繁に使われる言葉で、見る対象となるものが誰が作った物、誰に勧められたものなどに関わらず使える「見る」の尊敬語です。

「拝見しました」の類語

「拝読しました」

「拝見」は「見る」の敬語表現ですが「拝読」は「拝むように読む」という意味で「読む」の敬語表現です。「拝読」を使う場合の「読む」の対象は本や論文など、ある程度ボリュームがあるものです。「○○先生の論文を拝読いたしました」などと使います。

同じように相手が書いたものでも簡単な文書や通常の手紙であれば、読むものに変わりはありませんが「拝読」を使うにはボリュームが少なく、相手の気持ちや労力も比較的少ないため「拝見」を使います。

また、第三者が書いた本や論文であっても、目の前の相手から勧められたものであれば「拝読」を使います。「先日お勧めいただいた本を拝読いたしました」などとすることで「あなたから勧めてもらった本をありがたく読みました」という意味になります。

「拝読しました」「拝読します」「拝読したいです」など、「拝見」と同じように二重敬語に注意をして使います。

「拝聴しました」

「拝聴」とは「拝むようにありがたく聴く」という意味で、音楽や演説などに対して使われます。「拝聴」の「聴」という字には「聞く」「訊く」などと違い「耳を傾けて熱心に聴く」という意味があります。そのため、意識をしなくても聞こえてくる音や音楽、話し声などに対しては「拝聴」は使いません。

「拝聴」も「拝読」や「拝見」と同じように、相手の作品や話、または相手から勧められたものに対して使います。

「見せていただきました」

「拝見しました」という言葉は平たく言えば「見ました」ということです。敬語としては「見た」という動作は全て「拝見しました」に置き換えることができます。しかし、状況や相手との距離感によっては「拝見しました」が少し堅苦しく感じることもあります。

そんなときにはシンプルに「見せていただきました」としても問題ありません。「見せて」に敬語表現はありませんが「いただきました」を付ければ相手への敬意を表すことはできます。この「～いただきました」は「読ませていただきました」「聴かせていただきました」など応用も利きますし、普段の会話でも口から出しやすい言葉です。

「拝見しました」を使った例文

• 「先日ご紹介いただいた施設を拝見しました」
• 「御社のパンフレットを拝見しました」
• 「○○画伯の新作を拝見しました」