あしからず の意味・語源と使い方・例文
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「あしからず」 の意味・語源と使い方
「あしからず」は、古語の形容詞「悪し」(あし)の未然形「悪しから」に打消しの助動詞「ず」(連用形)が接続した形であり、通常は、その後に続くべき動詞などで始まる文節を省略した連用止めで用いられます。「悪し」という言葉はさまざまな悪い意味を持っていますが、この場合は不快に感じるという意味で使われ、「悪しからず」は「気を悪くしないでください」という意味合いです。
連用止めで省略されている言葉は一般に「ご了承ください」、「ご容赦ください」などであり、了承は事情を汲んで聞き入れる、あるいは許可すること、容赦は罪・過失や不都合なことを許すことです。従って、「悪しからず」には「気を悪くしないでお許しください」というニュアンスがあります。また、「悪しからずご了承ください」、「悪しからずご容赦ください」などの連用止めを用いない表現も間違いではありません。しかし、ビジネス文書に古めかしい古語の形容詞は基本的にふさわしくないため、通常は、ビジネスレターでの連用止めの表現でしか用いられません。
なお、このような連用止めで後の文言を省略して一文を終えるのは、殊更に念を押すような不粋な言い回しを避けるという意味があります。江戸時代には、文人墨客や都市の町人たちの間に粋(いき)の概念を尊重する風潮が行き渡り、皆まで言わない、言わせないという連用止めのような言語習慣が普及しました。「悪しからず」の連用止めは、ビジネスレターには珍しい江戸の粋の名残りです。
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「あしからず」 の例文
例文) 打ち上げパーティーにお招きいただき、誠にありがとうございます。あいにく先約がありますので伺えませんが、どうぞ悪しからず。
例文) 一番広い部屋を予約しましたが、参加者が予想よりも増えそうな状況です。皆さんに窮屈な思いをさせるかもしれませんが、そのときはどうか悪しからず。
例文) ご注文のズワイガニですが、このところの不漁続きで入荷が極端に減っています。ご希望の量は確保できませんが、どうか悪しからず。
例文) ご依頼の資料をお送りします。この冊子は、私が備忘録として書きとめたものですので、読みづらいところも多々あるかと思いますが、どうぞ悪しからず。ご不明の点は何なりとお尋ねください。
例文) 弊社としては不振が続くこの事業の業績改善に努めてまいりましたが、先月の取締役会で撤退が正式に決定しました。ともに頑張ってきた藤田さんには誠に申し訳ありませんが、なにとぞ悪しからず。
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